教育機関の授業目的での利用について

授業目的で素材を利用する際の著作権について

教育機関でフリー素材を利用する場面は多々あります。例えば、授業スライドやプレゼン資料の視覚素材として、デザインや画像編集の実習教材などの配布物作成に使用するケースなどが考えられます。生徒の教育の一環として、インターネット上から著作物を利用することでクリエイティブの幅は広がりますが、費用を請求されるなどトラブルに発展するケースも存在します。

教育機関で素材を利用する場合、どのような点に気をつけて利用したらいいのか、フリー素材を利用する際の注意点などを説明します。

著作権法における教育目的利用の特例

教育機関での利用に関して、著作権法第35条(文化庁より引用)により「授業で使うなら、ある程度は他人の作品を使ってもよい(授業の過程における利用)」という特例があります。通常であれば著作者の許可が必要ですが、授業のためなら許可なしで資料をコピーしたり、生徒に配ることも可能です。あくまで「教育が目的」であり、先生が授業で使う教材を作るときや生徒が授業の発表資料といった利用が当てはまります。利用範囲は、教室での授業だけでなく、オンライン授業や修学旅行、文化祭などの学校行事にも適用されます。

注意事項としては、「必要な範囲内」という条件です。教科書を全部コピーしたり、授業に関係ない部分まで使ったりするのはNGです。また、学校だよりや学校のホームページ、PTAの活動など「授業」とは関係ない場面では、この特例は使えません。(尚、ぱくたそで配布しているフリー素材に関しては、学校だよりや、ホームページ、PTAの活動などにも許可なしでご利用いただけます。)

学校の文化祭での演劇や発表は「授業の延長」と考えられるため、教育目的として素材を使うことができます。

授業目的公衆送信制度による利便性の向上

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月から施行された「授業目的公衆送信制度」により、教育機関での著作物利用がさらに容易になりました。この制度は、教育機関が一定の補償金を支払うことで、インターネットを通じた著作物を許諾なしで利用することができます。(以前は、紙での資料配布は無許諾で利用できました)具体的には、学習管理システムLMSへの教材の使用、授業での動画・資料の配信、教員によるリモート授業での素材利用など、デジタル環境でのあらゆる形態の授業が対象です。

ただし、この権利には責任も伴います。著作権者の正当な利益を保護するため、利用は授業を受ける学生などに限定され、誰もが閲覧できるような一般公開は禁止されています。また、学生が受け取った教材を無断でSNSに投稿するといった行為も認められていないため、適切な指導が必要です。

この制度は「クリエイション・エコシステム」とも呼ばれ、創作者への適切な対価還元により質の高いコンテンツ創出を促し、それが教育の質向上につながる好循環を生み出すことを目的としています。SARTRASという一般社団法人が著作者へ補償金の管理を行うことで手続きが簡素化された点も大きく寄与しています。

有料素材の誤解によるトラブル事例と注意点

教育機関でフリー素材と誤認して有料の素材を使用した場合、授業目的公衆送信制度では保護されません。

授業目的公衆送信制度は、教育機関が一定の補償金を支払うことで、著作物を授業で使用する仕組みですが、これは「適法に入手した著作物」を前提としています。しかし、フリー素材についてでも紹介したとおり、フリー素材の「フリー」という言葉の意味は、「無料」「自由」ですが、素材業界では、「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」、という意味合いで有料販売しているサイトも数多く存在し、大変紛らわしいのが実態です

フリー素材と検索して実際には有料だった素材を無断使用した場合は、そもそも著作権侵害となります。多くの教育機関がこの誤解で問題を起こしています。

- 大分県中津市の中学校では「ほけんだより」にフリー素材と思い込んで使用したイラストが有料だったため、7年間の使用料として約25万円の賠償金を支払いました。
中学校「ほけんだより」にイラスト無断使用...教諭がネットから転載、25万3000円賠償

- 千葉県成田市の小学校でも同様に、学年だよりとHPで有料イラストを無断使用し、約54万円を支払っています
フリー素材と誤認してイラスト無断使用、市が損害賠償 ー大分県中津市


こうしたトラブルが起きる原因は、「著作権フリー」という言葉の誤解や、利用規約の確認不足にあります。教育機関であっても、「フリー素材」と謳われているサイトの利用規約をしっかり確認することが重要です。教育現場では、著作権教育と併せて、適切な素材の選定と利用に注意を払うことが必要です。


教育現場で選ばれるぱくたそのフリー素材

2025年現在、SNSの普及やAI生成画像の台頭により、完全無料のフリー素材サイトは10年前と比較して大幅に減少しています。すべての素材を無料で提供し続けることはコスト面で非常に厳しく、多くの素材サービスでは一部有料コンテンツを販売する傾向が強まっています。

このような状況の中、ぱくたそは全国の自治体とのコラボレーションを通じて公的機関からの信頼を獲得し、10年以上にわたって安定した運営を継続しています。授業用スライドの作成から生徒の実習課題まで、幅広い教育シーンで自由にご活用いただけます。また、授業目的公衆送信制度の施行により、現在では多くの学校や教育機関でぱくたその素材が日常的に活用されています。

ぱくたその素材は、教室での対面授業はもちろん、オンライン学習や家庭学習の教材制作にも安心してお使いいただけます。子どもたちの学びをより豊かにするためのサービス選択も、教育の重要な一環であると考えています。