フリー素材サイトのコンテンツ制作や運営ポリシーについて

フリー素材のコンテンツ制作・運営ポリシーについて

ぱくたそは、2011年5月に設立した写真素材のフリー素材サイトです。これまでに、人物の写真素材(モデルリリース)や、企業・自治体との企画・コラボレーションなど、多岐にわたるコンテンツを提供してきました。

フリー素材の提供にあたり、ぱくたそはどのように運営されているのか、業界の実態や具体的な事例を交えながら、コンテンツ制作と運営ポリシーについてご紹介します。

素材サイトの種類について

素材を提供するサイトは、有料または無料に関わらず、以下の2つのタイプに分類できます。

  • 「運営者の作品のみ提供するサイト」
  • 「第三者から作品を提供してもらうサイト(運営者の作品も含む)」


ぱくたそは、運営者「すしぱく」の作品を含む第三者(撮影者)から提供を受けている後者のタイプに該当します。

次項では、素材サイトの種類について各サイトのメリットやリスクを解説します。

運営者の作品のみ提供するサイト

運営者自身のオリジナルの作品のみを提供することで、作者不明な作品による、著作権違反のリスクや、品質の不安定さを回避するメリットがあります。

しかし、運営者の作品のみの場合、作品の量産が難しいことや個人の判断ミスや知識の不足、承認欲求によって問題のあるコンテンツを公開してしまう恐れがあります。

具体的な例として、許可を得ずにモデルの顔写真を無断で使用したり、撮影が禁止されている場所での写真を公開してしまう故意や過失による行為です。

運営者の主観や倫理観に基づく「たぶん大丈夫であろう」という安易な判断によって引き起こされてしまうこともあり、サイトのコンテンツポリシーと審査体制を事前に確認することが重要になります。

サイトの信頼性や合法性を運営側がどのように担保しているのか理解することで、利用者は安心して素材を使用できます。

第三者から作品を提供してもらうサイト

第三者から作品を収集することで、大量の枚数が確保できることや多彩なバリエーションの素材を提供できるメリットがあり、特定のプロジェクトやニーズに合った素材を探している利用者にとっては魅力的です。

しかし、第三者から収集した作品がオリジナルであるかどうか、収集と確認方法によって信頼性が大きく異なります。以下の3つのケースについて解説します。

  1. 第三者に作品をアップロードさせ、運営者は審査せず自動的に公開するケース

    掲示板やサイトだけ提供するアップローダー系のサイトに多いケースです。作品は審査せずに公開されることで、大量の素材を迅速に増やすメリットがあります。

    しかし、審査プロセスがないため、品質の低い素材が多数公開されることや倫理的に問題のある素材が含まれてしまうことがあります。また著作権で保護されている素材にいたっては、法的トラブルに発展する可能性が極めて高いと言えます。


  2. 第三者にオリジナルの作品をアップロードさせ、運営者は審査せず自動的に公開するケース

    多くの素材サイトはこのケースに該当します。

    第三者は、オリジナルの作品であることを書面にて提出しアップロードを行います。

    しかし、運営者側が作品を審査せずに公開されてしまうため、倫理的に問題のある素材や著作権で保護されている素材が不注意にも含まれてしまう可能性があります。

    実際に起きたトラブルでは、「ぱくたそ」の写真素材が大手素材サイト「Shutterstock」で販売されてしまった事件です。

    参考:Shutterstockに不正販売された写真に対して行った対応と現状について(その1)
    2018年下旬頃から、同業でもある写真素材サイト「Shutterstock」社のサービス上で、当方「ぱくたそ」で配布している写真素材の一部が販売されています。(2019年2月3日現在)

    「ぱくたそ」の利用規約を守らないクリエイターによって、トラブルに発展してしまいました。

    以降も、画像素材を無断販売するといった「「Shutterstock」でイラストの無断販売が横行 画像素材サービスに注意」状態は続いており、オリジナルの作品であると書面を提出したからといって、第三者の不正は防げていない現状です。

    参考:NURO光、広告でイラストを無断使用 絵が有料素材サイトに転載→気付かず利用か
    イラストは作者が8年前に制作したもので、有料素材サイト「Shutterstock」などに無断で転載されていたようだ。作者はXで経緯を報告。ソニーネットワークコミュニケーションズは、イラストを広告代理店経由でShutterstockからロイヤリティーフリー素材として購入し、広告制作で使用したとの説明があった

    運営者側が作品を審査しないケースは、有料で購入したからといって安心して使える素材であるかは不明で、後々のトラブルを考慮すると利用者側の確認は必須であるように考えられます。



  3. 第三者にオリジナルの作品をアップロードさせ、運営者が審査して公開するケース。

    ぱくたそが採用しているケースです。

    前項とは異なり、アップロードされた作品を審査した上で公開する方法です。以下は、ぱくたそが行っている審査プロセス(運営ポリシー)となります。

    第三者とは、オリジナルの作品を所有しているか、撮影者としてふさわしいか事前に面接を行います。合格した採用者のみ、作品をアップロードすることができ、運営者は作品が基準を満たす品質であるか審査します。

    他人が撮影した作品や、顔が特定できる人物の写真など、「被写体の権利」をふまえて問題が生じそうなシチュエーションについては、「運営メンバー」と協議を行い公開の可否を慎重に判断しています。

    不要な問題を最小限に抑え、品質を担保し、利用者に安心感を与えることが目的であり、大切にしている運営ポリシーのひとつです。

    公開前の素材は、不要なものが映り込んでいないか、ノイズ処理やレタッチなど、画像加工も施しています。


    参考:ぱくたそとは

    すべての作品に対して、審査・選定のプロセス(画像加工を含む)を用いることは、時間やコストもかかることから、採用しているサイトは極めて少ないのが現状です。

「フリー素材」の定義と使用について

「フリー素材」の「フリー」という言葉には、はっきりとした定義がなく、現在非常にあいまいな状態で広く認識されています。

参考:フリー素材とは

フリー素材の「フリー」という言葉の意味は、「無料」「自由」ですが、素材業界では、「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」、という意味合いで呼んでいるところもあります。解釈は利用者に委ねられており、業界の取り決めはありません。大変紛らわしいのが現状です。

「フリー素材」の言葉が使われ続ける主な理由は、「フリー」「無料」といった言葉が持つインパクトにあります。集客に直結する効果で、多くのユーザーを引き付けるため、頻繁に使用されるのは自然なことです。

ぱくたそでは、以下の意味合いで「フリー素材」を使用しています。

  • 利用規約の範囲内ですべて無料で利用可能
    利用規約」に記載されている条件の範囲内であれば、すべて無料で使用できます。

  • 有料の素材販売なし、無料素材のみ
    素材を有料で販売していないため、ユーザーは追加料金の支払いなしで素材を使用できます。

  • 有料会員による差別化なし
    有料会員制度がないため、すべての利用者が同じ条件で素材を利用できます。

  • 枚数制限なく、何度も利用可能
    枚数の制限がないため、プロジェクトの規模にかかわらず必要なだけ素材を利用できます。(ロイヤリティフリー)

  • 商用利用も無料
    商用利用が可能であり、ビジネス用途にも広く使用できます。




フリー素材に関するニュース

「フリー素材」によってトラブルに発展しているという事実があります。以下は「フリー素材」に関連したニュースの一例です。


参考:フリー素材と思い込み...市立中の「ほけんだより」でイラスト無断使用、著作権侵害で作者に賠償 : 読売新聞

市教育委員会によると、同校の教諭がインターネットで見つけたイラストを無料で使用できるフリー素材と思い込み、2016年9月のほけんだよりに転載した。


フリー素材に関するトラブルの一因として、素材の使用条件が不明確であることです。

たとえば、有料の素材サイトが一部の素材を無料で提供している場合、ユーザーが誤って有料の素材(もしくは、ロイヤリティフリーという意味で無料ではなかった)を無料だと認識して使用してしまう可能性があります。また、一部の素材が無料で提供してあっても、商用利用などの特定の使用方法に対しては有料であるという条件の場合があります。

フリー素材だと思い込んで使用してしまい裁判に発展し、判決が下された事件もあります。
参考:フリー素材と著作権、判決から見る使いやすい写真素材サイトとは、


これらの状況は、「フリー素材」という言葉のあいまいさから起こる誤解の典型例です。


参考:ネット無料画像:利用に注意! 自治体が使用、多額請求も | 毎日新聞

無料をうたうサイトから自由にダウンロードできても、使用範囲は個人的なものに限られるといい、専門家は「チラシなどに掲載すると使用料を請求される場合がある。利用の際は必ず確認して」と呼び掛けている。


全国的に「フリー素材」に関連する被害が報道されたことで、「フリー素材」に対する警戒感が高まっているのは確かです。しかし、有料の素材が必ずしも安全であるとは限らないという事実は広く認識されていません。


「フリー素材」をマーケティングに使用するサイトの手法

「フリー素材」という言葉をマーケティングに利用するサイトの手法には、多くの場合、紛らわしい宣伝や誤解を招く表現が含まれます。以下にいくつかの一般的な手法を紹介します


  • 一部フリー素材の提供
    「一部フリー素材です!」と宣伝しておきながら、使用するには会員登録が必要であり、有料会員になるよう促されるケース。この手法は、ユーザーを有料会員に誘導するために用いられます。

  • すべてフリー素材を謳うが制限あり
    「すべてフリー素材です!」と宣伝しておきながら、使用するには会員登録が必要であり、無料での利用には制限がありすべて利用できないケース。

  • ロイヤリティフリーとして誤解
    「好きなだけ利用できるフリー素材です!」と宣伝しておきながら、実際には「ロイヤリティフリー」という意味であり、素材の利用にはお金を支払う必要があるケース。費用を支払えば何度も利用できるといった意味。

  • 無料枠の存在
    「今すぐダウンロードできるフリー素材です!」と宣伝しながら、有料会員ページでのみ無料枠が利用できるケース。無料で素材を提供しているように見せかけているが、実際には有料会員になる必要がある手法です。


これらの手法は、フリー素材を探しているユーザーを惹きつけるために用いられますが、実際には有料のサービスへと誘導することが目的です。

言葉が持つあいまいさや誤解の可能性は、利用者に混乱をもたらすだけでなく、業界全体の信頼性に影響を与えかねません

利用者には、素材サイトが信頼できるかどうか確認する責任はありますが、業界全体での意識改革と積極的な是正措置、正確な情報の提供や誤解を防ぐための取り組みが不可欠だと考えます。優良誤認が業界の一般的な状況となっている現状は、この問題の深刻さを示しています。

素材を販売しているサイトが「フリー素材」という言葉を用いることは慎重であるべきです。

「フリー素材」を検索する際には、これらの宣伝手法に注意し、実際の利用条件をよく確認することが重要です。広く行われている手法のため、フリー素材を提供するサイトを探す際には、上位に表示されるサイトが必ずしも無料であるとは限らないことを理解しておく必要があります。

著作権フリーの「フリー素材」について

著作権フリー、パブリックドメインやクリエイティブ・コモンズ ゼロ(CC0)に分類される素材こそが、真の意味での「フリー素材」と考えられることがあります。

参考:フリー素材とは:著作権フリー(CC0)について

著作権を気にせず利用できる「著作権フリー」と呼ばれるものの大半はCC0(パブリックドメイン)と呼ばれ、一切の制限なく自由に使うことができます。販売、改ざん、アダルト利用、作品を自分の物として発表しても違反にはなりません。

CC0のサイトは、他の写真サービス(API)を横断して表示するコンテンツ量産型の仕組みが多いです。要はCC0とタグ付けされた写真を自サイトでまとめて表示した形です。運営者の事前チェックは皆無で、出元が不明なものや他人の著作物をCC0で公開しているところも多くあります。サイトに著作者人格権を行使しないと書かれていたとしても、元の画像は他所の素材ということもあります。


著作権フリー(パブリックドメインやCC0)の素材が「真のフリー素材」として理想的であることは確かですが、唯一の基準とされる場合、実用性や出典の明確さの点で問題が生じます。

著作権が切れた著名人の作品に比べ、一般的なフォトグラファーやクリエイターが作成した作品が著作権フリーとされる場合、出典元が不明瞭になることがあります。複数のサイトで配布でき、規約も存在しないことから、出典を特定することは困難です。

著作権フリーの素材サイトが、素材の出典について正確な情報を提供しても、証明することは次第に困難となる可能性が高いのも事実です。利用者もCC0だと思って利用したものが、実は他人の著作物だったという可能性も大いにありえます。

ぱくたそでは、過去にCC0の素材サイトに写真素材を掲載されたことがあります。

参考:フリー素材サイトの利用規約を確認していますか? CC0は危ない話

ちなみに僕が調べた限りだと、ものすごく有名な写真家の写真がFlickrにアップされていてそれがCCゼロ表記になっており、横断検索でひっかかって出てきます。そのようなサイトに偶然、僕の写真(ぱくたそで公開している写真)が登録されていたので、これは絶対に利用してはならないやつだと思っております。


以上のことから、ぱくたそでは、著作権フリーだけが「フリー素材」ではないと位置づけています。

素材提供者と人物素材について

フリー素材の各ページに提供者(出典)の情報を明記しているのは、信頼性を高めるための重要な取り組みからです。

撮影者について

虹色のかき氷うんまーの無料写真素材 - ID.29964|ぱくたそ

各素材ページには、提供した撮影者が明記されており、利用者は「撮影者の一覧」から提供者の情報を確認できます。

素材の提供は、誰でも自由にアップロードできるわけではなく「撮影者の応募」または運営関係者による推薦が必要です。

撮影スキル、SNSの運用方法、一般常識などを確認するために、対面またはオンラインで面接が行われます。ぱくたそ所属の撮影者として相応しい人物かどうかを慎重に評価し、合格した撮影者のみが素材を提供できる仕組みとなっています。(自身の作品の取り扱い方や著作権に関する事項など、プロパティリリースに関する重要な説明が行われ、相違がなければ署名して締結します。)



人物(モデル)素材について

顔が特定できる人物の写真素材は、各素材ページごとにモデル名を明記しています。

モデルリリース

ドキドキする女子マネの無料写真素材(モデル名:河村友歌) - ID.25386|ぱくたそ

ぱくたそ所属のモデルになるには、撮影者と同様に応募から審査と面接を経て合格する必要があります。採用された場合、肖像権の使用許諾(モデルリリース)を結び、「モデル一覧」に掲載します。

企画・コラボレーションの取り組みについて

ぱくたそは、企業や自治体と協力し、フリー素材を用いた「企画・コラボレーション」を定期的にリリースしています。

代表的な企画、「自治体とのコラボレーション」では、歴史的建造物や伝統行事など、さまざな地域の魅力にフォーカスし、フリー素材を通じた情報発信を行っています。

以下は、自治体サイトで紹介された一例です。


具体的な例として、富山県南砺市市役所とのコラボレーションでは、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された五箇山の合掌造り集落をフリー素材にしました。

参考:[世界遺産]富山県南砺市(なんとし)の五箇山合掌造り集落と観光地の写真素材


ぱくたそが企画・コラボレーションを行う趣旨とメリットは以下のとおりです。

  • 特別な撮影機会の提供
    通常は撮影が難しい場所や、許可が必要な被写体を特別に撮影することができます。企画・コラボレーション限定の貴重なフリー素材を提供します。

  • 瞬間の記録としての価値
    たとえば、長野県長野原町との企画では、八ッ場ダムによって沈む町並みの記録をフリー素材化しました。瞬間を切り取り、後世にその時を伝えるコンテンツを提供します。

  • 集客とプロモーションの促進
    新製品や新サービスと連携し、互いのプロモーションのためにフリー素材を活用します。



企画の説明と許諾について

企画・コラボレーションのフリー素材は、各素材ページに「この写真の企画」といった項目を設けています。

明記によって、素材を閲覧する利用者がどのような背景や目的で撮影されたのか、くわしく知る機会に繋がります。また、企画に関わる企業や自治体への関心を高めることにも寄与します。

ただ いま ふくしま
ふたば未来学園の体育館を掃除する高校生の無料写真素材 - ID.85187|ぱくたそ

企画を行う際に、利用者が安心してフリー素材を使用できるよう、特定の敷地内(撮影禁止場所を含む)や特別な許可が必要な被写体に関しては、事前に承諾を得てから撮影を行っています。

実施している理由は、肖像権や著作権などの権利的なトラブルを避けるとともに、素材の質と信頼性を担保するためです。

たとえば、経済産業省と企画した「ただ いま ふくしま」では、福島県浜通りを中心に8市町と関連施設すべてから許諾を得て撮影しています

労力と時間をかけてでも、利用者と企画先が安心してご利用いただける環境作りを優先しています。

フリー素材の追加(更新)について

2011年のサイト公開以来、平日はほぼ毎日フリー素材を追加しています。

理由は、フリー素材を利用する層が平日に多いこと、一般的な企業と同じく平日に稼働することで、サイトの継続的な運営に対する安心感や信頼感をユーザーに提供しています。

2023年現在、ぱくたそは5万枚を超えるフリー素材を提供しており、これらの素材はサイト上の「新着の素材」で確認できます。


利用規約やよくある質問の作成

ぱくたその「利用規約」や「よくある質問(FAQ)」は、サービスの核となる非常に重要な役割を担っています。理解しやすい方法で情報を提供することによって、意図しない不正利用を減らし、利用者が最後まで内容を理解できるように考えて設計されています。

加えて、ユーザビリティを高めるために「AIが回答するFAQシステム」を導入しています。

利用規約の作成には、「運営管理人のすしぱく」、「リーガルアドバイザーのフバタロウ」、「テクニカルディレクターのYuu」が主導して、法律の専門家による確認も行っています。徹底した規約の作成によって、サービスの信頼性を確保し、安心できる環境の構築を目指しています。