祝・ぱくたそ15周年!15年続けるために、サイトの土台を作り直した話

祝・ぱくたそ15周年!15年続けるために、サイトの土台を作り直した話

こんにちは。ぱくたそ運営管理人のすしぱくです。

おかげさまで、ぱくたそは2026年5月で15周年を迎えました。長年のご支援、ほんとうにありがとうございます。

15年前、軽い気持ちで写真をWebに並べはじめたころは、まさかこれが15年続くとも、こんな時代になるとも思っていませんでした。

15周年というのは、サイト運営にとって一旦の節目。完成の報告というよりは、ここまでを整理して、ここから先のことを考える、ちょうどよいタイミングだと思っています。なので、すこし昔の話と、いま考えていることを、書き残しておこうと思います。

ぱくたそをはじめた2011年5月といえば、まだガラケーが主流で、スマホが少しずつ広がりはじめたころ。Instagramは存在していたけれど日本ではほとんど知られていなくて、SNSはTwitterとmixiとFacebookでユーザーの取り合いをしている、そんな時代でした。「写真を撮る」というのも、いまみたいにスマホでサクッと、というわけではなく、一眼レフを持ち出して、構図を決めて、撮って、家のパソコンに取り込んで、編集してから誰かに見せる。それなりに手間のかかる趣味だったわけです。

当時の僕は、平日は会社員、週末はカメラを持って撮影に出かける、というのが定番の過ごし方でした。本業ではWebサイトを作る仕事もしていたので、素材を「使う側」の立場でもあって、仕事で素材を探していると「もう少しちょうどいいやつがあればなあ」と思うことが多かったんですよね。それなら自分が撮った写真をフリー素材として公開したら、同じように制作の現場で困っている人が喜んでくれるかもしれない――そんな軽い気持ちで始めたのが、ぱくたそです。「目指せ100万PV」みたいな数字の目標も、収益化の計画も、特にありませんでした。

当時のフリー素材サイトといえば、だいたい三つのスタイルに分かれていました。15年経って、それぞれがどう変わったか、という話が後半でまた出てくるので、ここで簡単に書いておきます。

ひとつめは、ブログ形式。無料のブログサービスを使って「今日の写真」みたいに記事として公開していくスタイル。Webの知識がなくても始められるのが利点でした。いま、SNSに写真を投稿して「フリー素材どうぞ」とシェアしている方がいますが、感覚としてはあの源流にあたります。

ふたつめは、投稿型。素材を集めるサービスが先にあって、そこに複数の撮影者が自分の写真を投稿していく。一人では到底集まらない枚数を、みんなで持ち寄って数万枚規模のライブラリにする、投稿者の数で勝負するモデルです。

三つめが、手作りサイト形式。たまたまWebサイトを自前で作れるタイプの人間が、ドメインを取って独立したサイトを立ち上げる。撮影もデザインも運営も、ぜんぶ自分で見る。最も手間がかかるけれど、最も自由度が高い。ぱくたそはこのタイプです。

それぞれに長所と短所があって、横並びでゆるく共存している、平和な時代だったような気がします。

それから15年。
いまのぱくたそには、写真素材とAI素材を合わせて60,200枚以上が並んでいます。毎日どこかのブログ、企業の資料、テレビ番組、自治体の広報誌、学校の教材、海外のニュースサイトなど、いろいろな場所へ旅立っていきます。15年前にカメラの前でポーズを取ってくれたモデルさんの写真が、いまも誰かのプレゼン資料の片隅で働いている――よく考えると、ちょっと不思議な話です。

素材の量も、運営体制も、撮影スタイルも、いろんなものが当時とはまったく別物になりました。会社員兼業ではじめたサイトがここまで来てしまった。本人がいちばん驚いています。

今日はその、15年目の景色から見えていることを、書き残しておきます。

60,000枚を、ぜんぶ運営の目で見ている

ぱくたそについて、すこし「中の話」をさせてください。

15周年で素材60,200枚。数字だけ聞くと、けっこう多そうに見えるかもしれません。ただ、実は2024年だけで、僕個人が撮影した写真は10万枚を超えています。同じペースで15年間ずっと撮ってきたとすれば、計算上はとっくに100万枚に到達してもおかしくないんですよね。

ではなぜ60,200枚なのか。
答えはシンプルで、ぱくたそは公開している素材を、ぜんぶ運営の目を通したうえでリリースしているからです。

撮影してきた写真は、まず運営側で選別します。明らかなミスショットは公開しません。明るさや色味の調整(レタッチ)が必要なものは、ひとつずつ整えてからアップします。タグや説明文も、運営でチェックしてから公開します。カメラマンの方が撮影した写真を、撮影者本人がそのままアップロードできる仕組みは、ぱくたそには用意していません。

この運営方針は、立ち上げた2011年から、ずっと変わっていません。

一見すると面倒で非効率なやり方ですが、これが結果的に、ぱくたそが企業の広報や、自治体、学校の教材などにも安心して使っていただける理由になっている気がします。「ちゃんと運営の手が入っている素材」というのは、商用利用OK・登録不要のフリー素材サイトの中では、それなりに珍しい立ち位置になってきました。15年やってきて、これがぱくたその信頼の担保になっているのかな、と感じる場面が増えています。

規模より「ぜんぶ目を通す」のほうを、ずっと優先してきました。運営の目を通したうえで並べる。素材として成立する状態に整えてから、世に出す。手間がかかって人間味のある作業ですが、AIで何でも自動化できる時代になったからこそ、逆にこういう手間の残し方に意味があるんじゃないかな、と感じています。だからぱくたそはこのやり方のまま、これからも続けていく予定です。

この「ぜんぶ目を通す」というやり方が、AIの時代になって、ちょっと違う意味を持ちはじめてきています。

AI素材まわりで、業界が動いた話

15年目に印象的だったのが、AI素材まわりで業界全体が動き始めたことです。象徴的だったのは、PIXTAさんが2026年4月14日にAI生成コンテンツの取り扱いを段階的に停止すると発表されたこと。国内最大級の有料素材サイトのひとつによる、市場動向と費用対効果を踏まえた方針転換、というメッセージでした。サイトごとに、自分のスタンスに合わせてAI素材との距離感を再設計しはじめている、そんな動きが業界全体で起きている感じがします。

ぱくたそがAI素材を導入したのは2023年で、そのときに決めた理念は「写真では撮れないものを補完する」というシンプルなものでした。撮影するには権利的に難しいシーン、明らかに架空の場所(ダンジョンや、ファンタジー世界、SF映画の中に登場するような舞台)、創作者が求める架空のシチュエーション――そういう、現地に撮りに行きようがないシーンを埋めるためのものとしてスタートしています。

15周年のタイミングで、この当初の理念に改めて立ち返って、AI素材の扱いを最適化しました。AI素材は、撮影が難しいシーンや架空のシチュエーション、エフェクトやテクスチャー素材まわりを中心に並べる。検索結果や一覧画面で写真とAIの違いがユーザー側から見て分かりやすくなるように、表示や絞り込みも見直しています。AI素材を必要としている方にちゃんと届く形に、整えていく方向です。

15年続けるための、土台の作り直し

ここからしばらく、サイトの裏側、技術寄りの話になります。15周年の節目で、ぱくたそはサイトの土台部分にかなり大きく手を入れました。表側の見た目はあまり変わっていないので、毎日使ってくれている方からは「特に何も変わってない?」と見えているかもしれません。けれど、裏側はこの1年でずいぶん別物になっています。

ひとつ前提として、ここ数年、サイトに届くアクセス全体の構成は、はっきり変わってきています。人間からのアクセスは横ばいから微減、機械からのアクセスは右肩上がり。Google検索の上部に「AIによる概要(AI Overview)」が表示されるようになって、ユーザーが知りたかったことの大半が検索結果ページの中で完結する、という変化もこの数年で起きました。ぱくたそも、AI Overviewの中で「ここがフリー素材サイトです」と紹介されることが増えていて、必要な人に届くという意味では嬉しい反面、サイトに直接来てくれる回数自体はじわじわ減っている、というのが正直なところです。

こういう流れの中で、サイトをこれから先、5年・10年と安定して提供し続けるためには、土台を一度作り直したほうがいい――そう判断したのが、ちょうど15周年というタイミングと重なりました。

いちばん大きな工事は、画像配信の引っ越し、いわゆるCDN(コンテンツ配信ネットワーク)への移行です。きっかけは、画像配信側のサーバー負荷が想定外のペースで膨らんできたこと。毎日数百GB単位で画像を持っていくAIクローラーが現れるようになって、本体のサーバーが画像配信まで一手に引き受けていると、さすがに苦しい場面が増えてきました。今回の移行で、画像配信のトラフィックは専門の配信サービス側に分散させて、本体のサーバーはページの組み立てと検索処理に集中できる構成に切り替えています。急にアクセスが増えた日でも、画像が遅れずに届くようになりました。サイトを長く続けるための地味だけど大事な工事です。

同時に手を入れたのが、サイト内の検索システム。これは一から作り直しました。ぱくたそで素材を探していただくときに、いちばん使われる入口です。タグ・説明文・素材の種類(写真/AI)・色味など、いろいろな切り口から目的の素材にたどり着けるように、仕組みごと刷新しています。「どのキーワードで検索しても、それなりに気持ちのいい結果が返ってくる」を目標に、ここはかなり時間をかけました。15周年の裏側工事のなかで、いちばん神経を使ったところです。

サイト内の導線も、もう少し使いやすさを重視する方向に作り直しています。お目当ての素材にたどり着くまでのステップを短くしたり、似た雰囲気の素材が一覧で見つけやすくなるように関連表示の仕組みを入れたり、検索結果から素材ページへの動きを整理したり。AI素材と写真素材の見分けが検索画面でつきやすくなる工夫も、ここに乗せています。

あわせて、検索エンジン側にサイトの中身を伝える情報も、最新の仕様に合わせて見直しました。写真素材なのか、AI素材なのか、どんな内容の素材なのかが、検索エンジン側にもできるだけ正しく伝わるように整えています。

機械からのアクセスが年々増えていることは事実で、そのなかには素材を勝手に持ち出して再配布したり、よく分からない海外サイトに転載したりするスクレイパーも混ざります。利用規約に反するこういうアクセスは、CDN側の仕組みでサイトの手前で静かにお引き取り願っています。これはAIうんぬんの前から、ずっとフリー素材サイト運営者が悩まされてきた問題で、土台を作り直したことで対処もやりやすくなりました。

表側の見た目は、地味に変わったかな、くらいかもしれません。でも裏側の体感は、工事前と工事後でずいぶん違うサイトになっています。15周年に向けて、これからまた長く続けていくための土台が一段整った、という感じです。

「フリー素材」という言葉が、広がりすぎた話

ここで少しだけ、業界全体の話に視点を広げてみます。

ここ2〜3年、SNSやイラスト投稿プラットフォームを覗くと、AIで作った画像や、撮影した写真を「フリー素材」として配布する方が、急に増えました。XやInstagramで配ったり、Pixivで素材パックとして無料・有料で出したり、というスタイル。配布する側にとっては、サーバー代も検索対策の手間もいらず、好きな枚数を好きなタイミングで出せる。Webサイトを一から作って運営することに比べたら、ぐっと敷居が低い。新しい流通の動きとして面白いですし、応援したい気持ちもあります。

もちろん、SNSやプラットフォームで配られている素材のすべてに問題があるわけではありません。ただ、素材を使う側から見ると、出どころや利用条件を確認する手がかりが少ないものも増えてきました。

SNSやプラットフォームには、素材サイトのような分類や審査の仕組みが基本的にありません。それ自体は悪いことではないんですが、結果として、本来のシーンとはちがう画像が同じタグに並んでいたり、表記と中身が一致していなかったりすることが起きやすい構造ではあります。配布する側にも、利用する側にも、「これはどういう経緯で撮られたものか」「使って大丈夫なものか」を確認するきっかけが、あまり用意されていないんですよね。

実際、僕自身が制作者として素材を探しているときも、配布されているものを開けてみるまで中身がよく分からない、というケースに何度か当たったことがあります。有料施設の中で撮影された写真が、フリー素材として並べられていたり。人物が写っているのに、モデルリリース(写っている人から「素材として利用してよい」と同意を得た記録)の有無について何の表示もないまま「フリー素材」として配られていたり。

利用する側からすると、検索した結果に出てくるものが、出どころも権利の表示も書かれないまま並んでいる、というのが、いまの市場の正直な姿になりつつあります。これでは、企業の広報担当者や、自治体の方や、教育現場の方は、毎回確認の手間を払わないと安心して使えません。「フリー素材」という言葉が広がりすぎて、中身の幅が広がりすぎてしまった、というのが正確かもしれません。

ぱくたそはここを、ぼやかさない側でいたいんですよね。利用規約を読めばちゃんと書いてある状態を維持して、利用する人にも、撮影に協力してくれる人にも、できるだけ安心してもらえる場所を続けていく。15年やってきた日本のフリー素材サイトとして、よりよい形のフリー素材文化を、業界の一員として広げていけたらと思っています。

撮って、並べて、また撮りに行く

冒頭で書いた、2011年ごろにあった「ブログ形式」「投稿型」「個人サイト形式」の三類型のフリー素材サイトたち。あれから15年経って、いま残っているのはほんの一握りです。多くは閉鎖したり、更新が止まったり、運営者が変わったり。サーバー代が払えなくなった、運営者が燃え尽きた、SNSのほうが楽だと気づいた――理由はいろいろですが、要するにフリー素材サイトの個人運営って、続けるのがしんどいんですよね。

代わりに、素材の流通はSNSやプラットフォーム、大規模な投稿型サービスへ移ってきました。素材を探すユーザーから見ると、選択肢は増えたように見えて、実は「ちゃんとした素材」を見分ける手間も増えた、という状況です。

会員登録なし・有料販売なし・広告収入のみで運営している個人運営のフリー素材サイトは、この15年でずいぶん減りました。生成AIの登場以降、有料の素材サイトも決してラクな状況ではなく、業界全体が変化の中にいる感じがあります。

そういう中で、ぱくたそが15年やってこられて、いまも国内のクリエイターさんや企業の広報担当の方、自治体や教育現場の方に使っていただけているのは、運営者として素直に誇らしいですし、その期待にちゃんと応え続ける責任もあるな、と思っています。「日本のフリー素材サイト」として安心して使ってもらえる場所を、これからも地道に続けていくつもりです。

その一方で、写真素材の需要そのものは、肌感覚としてはむしろ上がっています。

15年やってきて感じるのは、AIで画像が量産できる時代になればなるほど、「ほんとうにそこにあったもの」の価値が、相対的に上がっていく、ということでした。AIは平均的に上手な画像をいくらでも作れます。でも、特定の人物、特定の地域、特定の店、特定の季節、特定の時代の空気感、こういう「一回性」のあるものは作れません。「あのときの河村友歌さん」「あの日の郡山市」「あの店の店主さん」のような固有性は、現地に行ってカメラを構えないと出てこない。だからこそ、撮影した写真の価値はむしろ上がっている、というのが、運営者としての素直な実感です。

ぱくたそのこれからは、ここをもっと厚くしていきたいと思っています。15年積み上げてきた、人物、地域コラボ、自然風景、日常、生活感のある場面――この資産はこれからも大切に並べ続けつつ、いまユーザーさんから求められているシーンに、もう一段踏み込んで撮りに行く。新しいモデルさん、新しいロケ地、新しい題材。15周年で裏側を整え終わったので、これからはもう少し「撮る側」に時間を使えるはずです。

正直なところ、ぱくたそは、いまの時代に「あえて立ち上げよう」と思う種類のサイトではありません。それでもなんとか15年続けてこられたのは、写真を撮らせてくれているモデルさんとカメラマンさん、地域コラボに協力してくださった自治体や企業の方々、サポーターや協賛企業の皆さま、家族、そしてなにより、毎日ぱくたそを使ってくれているユーザーの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

15年やってみて、いちばん強く感じるのは、素材サイトは「画像を置く場所」ではなく、「使える状態で並べておく場所」だった、ということ。撮って、並べて、また撮りに行く。このループを止めないのが、運営者としての本業なのだと、最近あらためて感じています。

15周年は完成の報告というより、これからもう一周やります、という決意表明に近い節目になりました。日本のフリー素材サイトとして、これまで以上に気合を入れてがんばっていきます。20周年は、「ぱくたそ、まだ続けていたんだ」と言ってもらえるくらい、地味な存在のまま、ひっそりと祝杯をあげたいですね。

というわけで、15周年も、生暖かく見守っていただけたら嬉しいです。心の中でもいいので「おめでとう」と言っていただけたら、運営しているこちらとしては、地味にありがたいです。

ぱくたそへのご支援について、すこしだけ

最後に、ひとつだけお願いを書かせてください。

ぱくたそを続けるために必要なのは、派手な拡大よりも、次の撮影に行けるだけの小さな余力です。

ぱくたそは登録不要・商用OK・有料販売なし、広告収入だけで15年運営してきました。そのスタンス自体はこれからも変えるつもりはないんですが、機材や撮影費、サーバーまわりの負担は、毎年じわじわと大きくなってきているのも事実です。

もし「ぱくたそ、いつも使ってるよ」「これからも続いてほしいな」と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぱくたそショップに支援ページを用意していますので、よかったら覗いてみてください。500円から支援していただけて、お礼として未公開の素材と、僕が撮影したテクスチャー素材1,500枚をお渡ししています。いただいたご支援は、これからの撮影や、サイトの整備に、そのまま使わせていただきます。

ぱくたそを支援する。ぱくたそショップ - ぱくたそへの支援

素材をリクエストや、企画コラボのご相談も、引き続きお待ちしております。